デジタル印刷でオリジナルパッケージに付加価値を。仕組みやメリットを紹介

デジタル印刷は小ロットから対応できて、付加価値の高いオリジナルパッケージを作成できます。この記事では、オリジナルパッケージを作る上で気になるデジタル印刷の仕組みや、オフセット印刷との違い、デジタル印刷でパッケージを作成するメリットからオリジナルパッケージができるまでの流れなどを詳しく紹介します。

デジタル印刷とは

パッケージ印刷の方法はさまざまですが、最近話題となっているのがデジタル印刷という方法です。まずはデジタル印刷とはどのような印刷方法なのか、その魅力を紹介します。

デジタル印刷の仕組み

デジタル印刷は版を必要としない印刷方法(オンデマンド印刷)の一種で、デジタルデータを直接デジタル印刷機に送り、紙などの媒体に印刷します。シアン・マゼンダ・イエロー・ブラックの組み合わせで構成された色を再現します。

デジタル印刷の魅力

デジタル印刷の魅力と言えば、小ロット・低コスト・可変印刷です。
デジタル印刷は版を必要としないため、小ロットでもコストを抑えられます。また、ナンバリングや宛名印刷など、異なる情報を印刷する可変印刷(バリアブル印刷)が可能です。トナーを使用して印刷するため、オフセット印刷のように裏面が汚れる心配がないのも魅力の1つです。
有名な製品で言うと、「コカ・コーラ」や「キシリトールガム」なども、デジタル印刷でボトルのラベルやパッケージのデザインを多数印刷しています。「コカ・コーラ」は250種類以上、「キシリトールガム」は200万種以上ものデザインを実現したことが話題になりました。

デジタル印刷のメリットとデメリット

<メリット>
  • 製版工程が無いため納品までの期間が短く、小ロットでもコストを抑えられる
  • オフセット印刷などでは、印刷が困難な特殊加工の素材にも印刷が可能
<デメリット>
  • 広い面積のベタに筋状の光沢ムラのようなものが現れる可能性がある
  • オフセット印刷よりも色の再現が苦手

デジタル印刷と間違えやすいオフセット印刷とは

小ロットでの印刷が魅力のデジタル印刷に対して、大ロットの段ボールやポスターなど商業印刷物に用いられるのがオフセット印刷です。デジタル印刷と違い、印刷するためには版が必要となるオフセット印刷について解説していきます。

オフセット印刷とは

インクと水が反発する性質を利用して印刷する方法で、フルカラー印刷の場合シアン・マゼンダ・イエロー・ブラックの4枚の版を使用します。4色を順番に塗り重ねて色を再現するオフセット印刷は、短時間で鮮明な印刷を大量にこなすことで単価を抑えられるのが特徴です。

オフセット印刷の仕組み

オフセット印刷は、平らな板を使用して印刷用の版を作成し、版に付いたインクをブランケット胴に転写してから、紙などの媒体に印刷します。
水と油が反発する性質を利用しているため、印刷したい部分を親油性に、それ以外を親水性にすることで、印刷したい部分にだけインクがつく仕組みになっています。

オフセット印刷のメリットとデメリット

<メリット>
  • 大量印刷に向いており、単価を抑えられる
  • インクをかけ合わせて色を作れるため、よりイメージに近い印刷ができる
  • 金や銀などの特殊な色の印刷にも対応できる
<デメリット>
  • 版を作る必要があるため時間と手間、初期費用がかかる
  • インクの乾燥に時間がかかるため、納品までに一定の期間が必要

デジタル印刷でオリジナルパッケージが完成するまでの流れ

デジタル印刷でオリジナルパッケージを作るには、デザイン作成からデータ入稿など複数の工程が必要になります。どのような工程が必要なのか、オリジナルパッケージが完成するまでの流れを紹介します。

1.パッケージを決める

パッケージには豊富な種類があるため、梱包する商品の大きさや重さ、コンセプトなどを考慮して、どのようなパッケージを選ぶのかを決めます。大まかでも良いので、使う素材や形を決めておくと、その後のデザインをイメージしやすくなるでしょう。
印刷会社のHPやカタログなどに記載されていないパッケージや加工にも対応してくれる場合があるため、気になる時は問い合わせてみるのもおすすめです。

2.デザインデータを作る

顧客層や商品、コンセプト、パッケージの種類から、オリジナルパッケージのデザインを考えます。印刷会社にデザインからお願いする場合も、イメージを考えておくと伝わりやすくなります。また、手書きでも良いのでデザイン画を作成するのもおすすめです。
注文方法は、既存のデザインから選ぶセミオーダー、デザインからお願いするフルオーダー、作成したデータを持ち込むデータ入稿があります。データ入稿の場合は、使用可能なソフトや保存方法、作成する場合の注意点などを確認しておきましょう。

3.データの入稿とチェック

完成したデザインデータを入稿します。ネットで注文する場合は、サイト上での入稿が可能です。印刷会社に直接データを持ち込む場合は、保存する媒体を確認しておきます。
入稿されたデザインデータは、印刷出力が可能な状態なのか、文字化けやズレなどがないかチェックされてから、最終確認の連絡が届きます。

4.パッケージデータの最終確認

最終確認用のデータを確認します。ここで校了となると、基本的にその後は修正できないためしっかりと確認しましょう。文字化けやズレ、線や文字の太さなど、作成したデザインと違いがないか確認します。間違いを見つけた場合は連絡を入れてから、データを修正して再入稿し、問題がなければ校了となり印刷工程へ進みます。

5.印刷・加工・出荷

校了となったデータは、印刷・加工の工程へ進みます。完成したパッケージは、印刷のズレや折れなどが無いか検品の上、問題が無ければ梱包されて指定の場所へ出荷されます。

デジタル印刷でオリジナルパッケージを作るメリット

版を必要としないデジタル印刷は、自由度が高くオリジナルパッケージを作る上でさまざまなメリットがあります。最後に、デジタル印刷でオリジナルパッケージを作るメリットを紹介します。

異なるパッケージデザインができる

デジタル印刷は、版ではなくデータを送信して印刷するため、同じテンプレートを使ってロゴや支店名、QRコードなど部分的な変更をした印刷が可能です。1点1点写真を変えて印刷できるため、オンリーワンのオリジナルパッケージを作れます。異なるパッケージデザインで、商品の付加価値を高められます。

小ロットでパッケージ印刷ができる

グラビア印刷と比べて小ロットでの印刷が可能なため、プロモーション用のサンプルなども高品質で作成できます。また、必要な時に必要なだけ作成できるため、単価を抑えるために大量発注する必要もなく、在庫を抱えたり保管場所を確保したりする必要がありません。

製版が不要でコストを削減できる

デジタル印刷はデータを送信して印刷するため、アナログ印刷のような版を必要としません。そのため、製版をする時間の短縮だけでなく、製版代を抑えコストを削減できます。
版の場合、一度作成すると修正するには再び版を作成しなければなりませんが、デジタル印刷の場合はデータなので、急なデザインの変更や修正にも対応可能です。

さまざまなプロモーションに合わせて作成できる

小ロット、低価格、可変印刷を得意とするデジタル印刷は、オープンイベントや期間限定、季節限定などのキャンペーン用の広告宣伝や販促物の作成にも向いています。また、結婚式の引き出物や市場調査、試供品などアイディア次第でさまざまな企画に活用できます。商談用のサンプルや撮影用のダミー商品など、プロモーションに合わせて製作できるのもメリットです。

デジタル印刷で付加価値の高いオリジナルパッケージを作ろう

デジタル印刷は、小ロットへの対応やデザイン変更のしやすさ、ナンバリングや部分的なデザイン違いにも対応できるなど多くのメリットがあります。そのため自由度が高く、付加価値のあるオリジナルパッケージを作成することが可能です。ぜひデジタル印刷で理想のパッケージを制作してみてください。