canalでサプリメント用のパッケージをご利用いただいているパーソナライズビューティーブランド『FUJIMI』代表の藤井様に、デザインに込められた想いや、パッケージ作りの課題と今後についてインタビューさせていただきました。
目次
「私らしい美しさ」を届けるために『FUJIMI』を立ち上げ
– 『FUJIMI』とはどのようなサービスなのでしょうか。
『FUJIMI』は美容分析からその人にあった組み合わせで商品をお届けする、パーソナライズビューティブランドです。「私らしい美しさで私をもっと好きになる」ことを企業のミッションとして掲げ、『FUJIMI』を通じて「私らしい美しさ」を届けることで、お客様が自分により自信を持って、自分のことをより好きになってほしいと考えています。画一的ではない、その人その人にあった美しさを引き出す手段として、『FUJIMI』を立ち上げました。
– なぜご自分で『FUJIMI』を立ち上げようと思ったのですか。
私は、もともと美容メディアの運営をしていました。その仕事の一環で様々な美容ケアの商品を手に取る機会が多かったのですが、自分が心から良いと思えるものがあまりありませんでした。そんな中、ストレスで自分の肌が荒れてしまったのですが、何よりも美容に良かったのがサプリメントでした。はじめは「サプリに懐疑的でした」が、仕事で得た美容の知識を生かして、自分に必要そうな成分を選んで飲んだところとても良かったので、「自分に合ったサプリを飲むとこんなに美容に良い」ということを伝えるために『FUJIMI』をはじめました。
「FUJIMIらしいデザイン」でサプリを化粧品のような存在に
– FUJIMIを立ち上げる際に、なにを重視していましたか。
『FUJIMI』を立ち上げる時に、化粧品のようなものにしたいと考えました。化粧品は、中身だけでなく容器の美しさや香りなどにもこだわっていて、実際の効果に加えて、毎日使うなかで気分が上がるものというイメージがあります。
一方で、サプリメントには、「胡散臭い」や「かっこわるい」といったネガティブなイメージがついているように思います。海外と比べると、日本ではサプリメントは毎日飲むことで体の調子を良くするもの、日常的に取り入れるものであるという認識がまだ広がっていないと感じています。たとえば、魚があまり食べられていない国々では、サプリメントからフィッシュオイルを取ることに抵抗がありません。一方で、日本では栄養バランスの良い食事をとることへの関心が強く、必要な栄養をサプリメントで補うことはあまり良くないという考えが持たれているように思います。
また、デザインでいえば、日本ではわかりやすくするために成分名が大きく書かれたパッケージや、目立つように禍々しい色が使われたパッケージのものも多く、人前で取り出すのがはばかられることがあります。
『FUJIMI』は、サプリメントに対するこれらのネガティブなイメージを払拭するには、クリーンなイメージを演出するのが良いだろうと考え、デザインにこだわりました。化粧品のように「使うだけでテンションが上がる」、それでいて生活の邪魔をせず日常に溶け込むものを、ということをかなり意識しました。
– 化粧品のような見せ方に変えていくために、どのようなブランドを参考にされましたか。
主に韓国とアメリカのサプリブランド、特にCare/ofを参考にしていました。Ritualというブランドも、ブランド名から見て取れるように「サプリメントを習慣的なものにする」というコンセプトが『FUJIMI』で実現したい世界と同じだと思い、参考にしていました。
また、化粧品のようなサプリメントを、という発想でいたため、本質的、機能的でありながらスタイリッシュなイメージの国内化粧品ブランドもよく見ていました。
– ブランドのもともとのターゲット層は30代、40代の女性だったそうですが、それは今も変わっていないのでしょうか。
最近は以前よりもユニセックスなイメージを前面に押し出しています。当初から、女性メインであってもユニセックスなものを作りたいと考えていたのですが、最近の男性向け化粧品の市場拡大を受けて、より意識するようになりました。弊社の男性社員も美意識の高い者が多く、半数くらいはベースメイクをしている、ジェンダーレスな環境です。
– 「『FUJIMI』らしいデザイン」とはどのようなものか、教えてください。
高性能でシンプルなデザインです。洗練されていて、かつユニークさを感じるデザインを意識しています。ユニークさだけを追求して派手なデザインにしてしまうと、機能的というイメージが落ちてしまいます。そのため、凡庸ではないシンプルさを追求しています。
– それらのイメージや意識を複数のデザイナーや社内全体と共有するのは難しそうです。デザインはどのようなプロセスで進めているのでしょうか。
ピンタレストで私が集めたアートボードをもとに、まず皆で言語化をしています。先ほどの「洗練」「ユニーク」などのような語を出し合い、使って良い要素を決め、それをデザインに落とし込んでいきます。『FUJIMI』では水・植物のイメージ、砂・大地のイメージ、そして光という、大きく3つの要素を選んでいます。これらの要素から、撮影時のビジュアルなどを詰めていきます。
言葉では伝えにくい加工の要望にも、実物サンプルで具体的に提案してもらえた
– どのように「『FUJIMI』らしいデザイン」を実際のパッケージに落とし込んでいきましたか。
Care/ofのようなものを作りたいという考えはあったのですが、実物を海外から取り寄せることができませんでした。そこで、東急ハンズやロフトで材料を買ってきて、型紙を描き切り貼りして自作しようと考えました。どれくらいのサイズであればサプリメント5粒が入るか、袋にどれくらいのカーブをつければ出しやすいかなど、細かな調整を重ねて、自作したパッケージを印刷会社に持ち込み、希望を伝えました。
はじめはパッケージの製造工程がわからなかったので、希望のデザインをOEMの方にお渡しして、工場を探していただく、という状態でした。
事業が進んでいく中で、商品やパッケージなど個々の要素に分解して生産を考える必要がでてきて、パッケージを専門にしている印刷会社の存在を知りました。その時にちょうど、canalさんから「ご希望のパッケージを作れます」という話をいただきました。
– 当時はパッケージでどのようなことに困っていましたか?
小分け袋を作る際に、マット加工を重視していました。しかし、「マット加工」と言っても人によってイメージするマット感が違います。要望を説明しても、完全にこちらの要望を理解していただくのがとても難しく、話が進んでから現物を確認すると希望のものではないということもありました。
canalでは、私達の要望をもとに様々なマット加工のサンプルを探してきてくれて、具体的に提案してくれました。おかげさまで、「どのマット加工が良いのか」というところまで実際に確認することができ、希望していたマット感を実現することができました。
– 昨年、パッケージを箱からポーチにリニューアルした背景やきっかけについて教えてください。
毎月100件以上のアンケート回答をいただいているのですが、「ゴミが多く捨てづらい」、「環境に配慮した簡易包装にできないか」というお声を多くいただいていました。また、配送料500円は高いという声もありました。
そういったお声をもとに社内でリニューアルを検討していきました。過剰包装をやめ、かつ配送料も抑えられるようにするために、メール便でお届けできる簡易な形状に変更しました。また、環境に配慮したパッケージにしたかったため、燃えるゴミとして捨てられる素材にこだわりました。
弊社だけでなく、お客様にとってもメリットのあるリニューアルを図るのは難しいですが、今回のリニューアルについてはリニューアル後の方が反応が良く、Win-Winな状況を実現できた点が良かったです。
今後についても、さらなるリニューアルについて考えています。たとえば、最近リフィルは環境に配慮していてかっこいいものだというマインドシフトが起きています。環境に配慮しつつコストを抑えられるものとして定着してきているので、リフィルでありながらスマートで満足度を下げないパッケージを模索していきたいです。